熊本県阿蘇郡の元旅館運営「株式会社AK(旧商号:株式会社杖立観光ホテルひぜんや)」に特別清算の開始決定 事業は新会社が承継

信用調査大手の帝国データバンクおよび官報(6957号)によると、熊本県阿蘇郡小国町(登記上の本店所在地:東京都港区虎ノ門)の「株式会社AK(旧商号:株式会社杖立観光ホテルひぜんや)」(代表清算人:河津豊四郎)は1月27日、東京地方裁判所から特別清算の開始決定を受けた。申請代理人は西村賢弁護士(成和明哲法律事務所、東京都港区虎ノ門4-3-1城山トラストタワー31階、電話:03-5405-4080)で、事件番号は平成29年(ヒ)第2002号となっている。負債総額は当初約32億6100万円と推計されていたが、事業を承継した新会社が一部債務を引き継いだ結果、約18億5600万円と判明している。

同社は1690年頃(元禄時代)に創業したとされる老舗の温泉旅館をルーツとする合資会社肥前屋旅館(1950年10月設立)の事業を承継する目的で1967年7月に設立された元旅館運営会社。1987年3月には隣接する合資会社千歳館を買収し、施設を「ひぜんや」として一体的に運営していた。館内に熊本県と大分県の県境があるとして知られる温泉リゾートホテルで、熊本館・大分館・数竒屋丸(総客室数156室)の宿泊棟などで構成され、大・中宴会場、大浴場、露天風呂、レストランのほか、ボウリング場や屋外プール(夏季限定営業)などのレジャー施設も備えていた。また、1989年2月には近隣に和風新館「大自然」(総客室数47室)をオープンさせるなど業容を拡大し、ピークとなる2004年8月期には約24億5000万円の年間収入高を計上していた。

しかし、景気悪化の影響に加え、黒川や湯布院といった近隣の有名温泉郷との競合も重なって個人・団体客ともに集客が振るわず、2012年8月期の年間収入高は約11億円にまで縮小。この間、赤字計上が続き債務超過に陥っていたなか、設備投資・更新にともなう多額の有利子負債が重荷になり資金繰りが悪化していた。

その後、金融機関から返済猶予を受ける一方、集客強化や合理化推進などで立て直しを図り、中国を中心とする東アジア地域からの外国人観光客の宿泊利用が増加したことにより2015年8月期の年間収入高は13億9300万円にまで回復。収益も黒字転換を果たすなか、金融機関主導の再生スキームに沿う形で2016年6月に全事業に関する権利義務を、新設した「株式会社AK(現商号:株式会社杖立観光ホテルひぜんや、同年1月設立、同代表)」に分割譲渡した後、現商号へ変更。2016年8月31日に開催の株主総会決議で解散し、同年12月に登記上の本店を現住所へ移転していた。

なお、「杖立観光ホテルひぜんや」は事業を承継した新会社により継続して運営されているという。

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