官報(第1030号)によると、大阪府箕面市の「株式会社理喜」(代表取締役:水本 常博)は7月19日、大阪地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けたことがわかった。事件番号は令和5年(フ)第2855号で、財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日は令和5年10月26日午後2時50分、破産管財人には豊島ひろ江弁護士が選任されている。負債額は約15億1600万円。
同社は同業3社が合併する形で1968年3月、理喜ニット株式会社として設立されたアパレル製品の製造・販売を事業とする会社。鹿児島県内の自社工場のほか、1987年に他社との合弁でバンコク近郊に生産拠点を開設し、安価な製品の生産体制も整備していた。同海外拠点においてもトヨタ式の生産方式を採用することで品質を維持管理していることを売りとして、アパレルメーカーからシャツ・肌着などのOEMを手掛けるほか、ピーク時の1996年1月期には約51億7000万円の年間売上高を計上していた。
しかしその後は景気低迷やファストファッションの台頭など安価な海外製品の流入による価格競争の激化により採算性が悪化。2008年に自社ブランドとしてゴルフウェアブランド「Fairy Powder(フェアリーパウダー)」「Chase Vampire(チェイスバンパイア)」を立ち上げるとともに直営店「アウグラーレ」の展開を開始するなど新規事業の立ち上げによる経営立て直しを図り、一定の効果は表れていたものの、メインのOEM事業での安値受注による欠損を埋めるほどには至らず、金融機関にリスケ要請を行うなど厳しい資金繰りを余儀なくされていた。
こうした中、新型コロナウイルスの影響による受注の大幅な減少や円安による物流コストの増加などの要因により資金繰りが限界に達したことから今回の事態となった。なお、同社のゴルフウェア事業については2023年4月に設立された株式会社リキスポーツに譲渡されており、現在も製品の販売等が行われている模様。

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