信用調査大手の帝国データバンクによると、熊本市北区武蔵ケ丘の「株式会社ヤマイ」(代表取締役:辻野勇)は6月8日、熊本地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、9日に保全命令を受けた。申請代理人は由井照二弁護士(由井法律事務所、熊本市中央区黒髪3-12-4、電話:096-343-0585)。負債は約71億円が見込まれている。

同社は1994年(平成6年)5月に「有限会社ヤマイ」として創業し、1999年(平成11年)5月に株式会社へ組織変更した不動産会社。九州地区の地方裁判所で行われる土地や建物などの競売物件の売買を主体に、競売物件を自ら取得して前所有者などに賃貸する事業を手がけ、2001年4月期は約1億5600万円の年間売上高を計上していた。

しかし、こうした不動産取得資金を個人や民間企業などから調達していたこともあって利払い負担が重く、収益が低迷していた上、参入業者の増加で物件確保が困難になったこともあって、営業エリアを中四国や関西地区にも広げていたものの、2011年4月期には約5億5000万円の最終赤字を計上するなど債務超過に陥っていた。こうしたなか、4月中旬に発生した熊本地震を受けて借入金の返済要請があったことにより、資金繰りに窮し、今回の措置となったという。帝国データバンクによると、熊本地震に関連した倒産は同社の経営破綻が初としている。